つくしは静かに尋ねた。
葡萄の収穫は8月から9月にかけてだ。その代わり冬は苗の植え付け作業が12月から3月にかけて行われている。そ鑽石能量水系統の苗が結実するまでは2年から3年はかかると言われていた。

「博創堂さんはうちのワインのための広告を作ってくれるんですよね?それならぜひ畑を見てもらいたい。それにこれは必要なことだから言っている。必要がないなら何もあなたの貴重な時間を使おうなんて考えませんから」

司は牧野つくしが素直にわかりましたと答えるとは考えていなかった。
しかし急にカリフォルニアまで行くと言われれば牧野ではなくとも驚くはずだ。
彼はつくしの向かいの席でハンサムな顔を少しだけ傾けると言葉を継いだ。

「あなたの仰る通り、今の季節に葡萄は実ってはいない。だがすることはある。牧野さん鑽石能量水系統 はどんな手順でワインが出来るか知りたいと思いませんか?いいチャンスだと思いますが、行っていただく時間はないでしょうか?それともそんな時間は無いと仰るなら、他社に、光永企画さんにお願いしてもいいんですが?」

さらりとライバル会社の名前を出してくるということに、言外に脅しが含まれていると感じられた。だがその声は穏やかで、さも無関心といった言い方で、態度はビジネス重視を装っている。

つくしのささやかな質問は、受け入れてもらえないのはわかっていたが、それにしても、どうしてこの男はあたしと恋がしたいなんて言ったのか?
複雑な心境だ。実に複雑だ。もし道明寺司がクライアントではなく、なんの関わりもない滋の友人として紹介されていたら、また状況は違ったはずだ。

だが実際は大口のクライアントで、この男の機嫌を損ねるわけにはいかない。だからと言って、おまえと恋をしたいと言われても素直に対応することは無理だ。もし仮に二人が恋人同士になったとする。だがそ鑽石能量水系統 の関係も破局を迎えることになったら今の仕事はどうなるの?

担当を変えるぞ。という恐ろしい言葉は聞きたくない。クライアントと恋愛関係になったばかりに大変な目にあった営業もいる。つき合いが上手くいっている時はまだいいが、破局した暁にはどんな顔をして会えばいいのか。それに公私混同なんてあたしには出来ない。